IATF 16949
・IATF 16949規格について
アメリカではQS9000、欧州のフランスではEAQS、ドイツではVDA、そしてイタリアではAVQSというような国や地域によって複数の自動車産業界向け規格が存在し、自動車部品製造業(サプライヤー)は顧客によってはそれぞれの規格に対応したシステムを確立し、運用し、維持管理する必要性に迫られていました。
この不都合、不便さを無くし、世界共通の統一された規格を制定するために、IATF(The International Automotive Task Force)が中心となり開発されたのが、ISO/TS 16949規格であり、その初版は1999年に発行されました。その後、ISO 9001:2000規格が改訂発行され、それに伴い、ISO/TS 16949:2002規格へと更新。その後、ISO 9001:2008規格が発行され、ISO/TS 16949:2009規格が発行された経緯があります。
そしてISO 9001:2015規格が発行されたことによる改訂が行われ、名称も新たに変更されて、IATF 16949:2016規格(Quality management systems requirements for automotive production and relevant service parts organizations)が登場しました。
この規格は「自動車部品製造及びサービス組織向けの品質マネジメントシステム」という名称で、ISO 9001:2015規格に自動車業界固有の要求事項を追加した内容となっています。なお、組織は、規格要求事項を満足することは勿論のこと、法規制、コアツールや全ての顧客固有の要求事項(CSR:Customer Specific Requirements)、及び不定期に発行されるIATF 16949 SIs(Sanctioned Interpretations)にも対応しなければなりません。また、規格要求事項に関する適用除外は「製品の設計・開発」に限定されますが、用語の定義における「設計責任のある組織」の事項には細心の注意が必要です。
・認証取得が可能な(審査対象となる)組織及び注意事項(詳細はIATF発行のRule6(2025年1月から)などを参照願います)
1)自動車(オートバイ、バス、トラックを含む)の自動車部品製造を行っている組織が対象で、適用範囲には必ず製造所(サイト)を含むことが必要になります。設計・開発だけを行っている組織や治工具製造(車載用治工具を除く)、製造設備製造組織、アフターマーケット製品・商品、そしてソフトウエアだけを製造している組織などには適用されません。
2)OEM(Original Equipment Manufacturer)に繋がる自動車部品サプライチェーン(Tier1、Tier2・・・Tier n)の、どのような位置づけにある組織でも認証取得が出来ます。ただし、上記にも記載したとおり、アフターマーケット製品・商品の製造組織は認証取得の対象となりません。
※1 自動車業界で使用される”OEM”という用語は、例えば、トヨタ自動車やNISSANなどの完成車メーカーを意味します。
※2 自動車製造会社から見て、第一次下請けの組織をTier1、第二次下請けの組織をTier2と言います。
3)審査を受審するには基本的に約1年間の活動記録(パフォーマンスやエビデンス)が必要になります。これにつきましては組織各位様の製造製品によって異なる場合がございますので、詳細につきましてはIATF登録の審査登録機関にご相談下さい。
4)特定の顧客だけを対象とした適用範囲の設定や運用は出来ません。すべての顧客(車載用製品や部品納入先など)が適用対象範囲となります。
5)法規制への対応、コアツール(APQP、PPAP(S-PPAP)、FMEA(DFMEA、PFMEA、FMEA-MSR)、MSA、SPC)及びコントロールプランの適用(詳細はCSRを参照)などが求められています。
※FMEAは、2019年6月3日付で「AIAG & VDA FMEA Handbook」として新たな版が発行されました。詳細につきましてはAIAG又はVDA QMCなどのサイトを参照願います。
・弊社におけるIATF 16949規格の認証取得に関するご支援について
弊社では、数多くの組織各位様に対し、QS9000、ISO/TS 16949そしてIATF 16949規格の認証取得に関するご支援実績を有しております。ご支援内容などにつきましてはお気軽に上記の「お問い合わせ」からお願い申し上げます。
・オンサイトセミナーについて
弊社ではIATF 16949規格に関し、下記のオンサイトセミナーを実施しております。オンサイトセミナーというのは、弊社コンサルタントが組織様が指定した事業所などへお伺いし、そこでセミナーを開催・実施させて頂きます。
1)IATF 16949規格解説
IATF 16949規格について、すべての固有要求事項及びIATF発行のSIの内容などを含め、組織様の業種・業態に沿って解りやすく解説します。ただし、時間の関係からISO 9001規格要求事項の解説は省略させて頂きます。
2)内部監査員スキルアップ
組織様が認定したIATF 16949内部監査員の方々を対象としたセミナーです。「プロセスの有効性と効率」を中心に、プロセスアプローチに基づいた内部監査手法を習得して頂きます。
3)第二者監査員スキルアップ
組織様が認定した第二者監査員(VDA 6.3、及び/または、SAC認定者を含む)の方々を対象としたセミナーです。MAQMSRを第二者監査でどのように適用するのかなど、組織様のご要望に応じた内容で実施致します。
なお、関連するコアツール・オンサイトセミナーには下記の種類があります。
1)APQP解説
2)FMEA解説(AIAG VDA FMEA Handbookを適用)
2-1)DFMEA解説(演習を含む)
2-2)PFMEA解説(演習を含む)
2-3)MSR解説(演習を含む)
3)コアツール全般解説
IATF 16949規格と関連のある規格など
・ISO/IEC 17025(JIS Q 17025)
「General requirements for the competence of testing and calibration laboratories(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)」
・ISO 26262(Part 1〜Part 12)
「Road vehicles — Functional safety」
・ISO/SAE 21434
「Road vehicles — Cybersecurity engineering」
・ISO/IEC TS 33060
「Information technology — Process assessment — Process assessment model for system life cycle processes」
・ISO 45001(JIS Q 45001)
Occupational health and safety management systems- Requirements with guidance for use(労働安全衛生マネジメントシステム− 要求事項及び利用の手引)
・JIS Q 45100
労働安全衛生マネジメントシステム―要求事項及び利用の手引―安全衛生活動などに対する追加要求事項(Occupational health and safety management systems – Requirements with guidance for use – Additional requirements for health and safety activities)
※日本固有の規格で、ISO 45001(JIS Q 45001)規格を包含。
・TAPA(Transported Asset Protection Association)
TAPA─FSR:Freight Security Requirements(貨物セキュリティ要求事項)
TAPA─TSR:Trucking Security Requirements(トラック輸送セキュリティ要求事項)
関連する外部組織へのリンク
・IATF(International Automotive Task Force)
https://www.iatfglobaloversight.org
・AIAG(Automotive Industry Action Group)
https://www.aiag.org
・VDA(Verband der Automobilindustrie e. V.)
https://www.vda.de/
・Automotive SPICE(Software Process Improvement and Capability dEtermination)
http://www.automotivespice.com
・CMMI(Capability Maturity Model Integration)
https://cmmiinstitute.com
・TAPA(Transported Asset Protection Association)
https://www.tapa-global.org
・IAF(International Accreditation Forum)
https://www.iaf.nu
・ILAC(International Laboratory Accreditation Cooperation)
https://ilac.org
・公益財団法人 日本適合性認定協会(Japan Accreditation Board (JAB))
https://www.jab.or.jp
・国土交通省(Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism)
https://www.mlit.go.jp
・経済産業省(Ministry of Economy, Trade and Industry)
https://www.meti.go.jp